隅田 昭のエンタメーゼ

よみうりカルチャー 小説教室で合宿が開催されました


2015年5月3日から4日にかけて、千葉県千倉市で、よみうりカルチャー 小説教室の合宿が開催されました。

内容は以下の通りです。




今日は金町のよみうり小説講座を開催して、初めての本格的な合宿です。
有意義に過ごしましょう。
皆さんも知っている通り、私は伊藤桂一先生の小説教室で学び、 そのあと仲間と立ち上げた同人誌の発起人のひとりになりました。

その後の同人誌の合宿経験が作家への階段を一段も二段も登ることに役だったと確信している。
月一回の小説教室は講師の一方的な論評になってしまい、仲間とも意見交換が限られています。
今回の合宿は、皆さんが階段をさらに一段登る手助けができるはずです。

授業では短編か中編を完結させて、書き始めと結末の手法を磨くのがベストだと思います。
長編の習作はたいせつな結末技法が磨きにくいのです。
小説は何より筆を折らず、書き続けるのが最も重要です。
文学賞の選者は作家なので、多くの文芸作品を読み切って、技量を身につけてもらいたいと思います。


■構成


作者の「書きたい物語」ではなく、作者が読者の立場になって「読みたい物語」にする。
そのためには「読みやすい文体」でなければ、まったく話にならない。

文章が出来ていないのは論外だし、難しい文法や用語を避け、行間(センテンス)にも気を配らなくてはならない。
ありきたりの言葉、比喩や例え話、ことわざなども極力使わない。
また、簡潔で明瞭な文体を使い、映像作品のような大げさな言葉を使わないことです。


■書き出し


主人公だけを早めに登場させる。
そのあとから漸次、魅力ある人物を登場させて、それらの人物を克明に描いていくことです。


■情景描写


情景描写は、名詞を羅列させておいて、適宜、その名詞を修飾させることです。

「フェンスの向こうには海が広がる」よりも、

「芝生に囲まれた白いフェンスの先に、どこまでも青い海が広がる」

と表現をすれば、読者はその場にいる感覚になって、物語に引き込むことができる。
「美しい」、「きれい」などの平坦な形容詞は使わない。
なぜなら表現は、読者によって感性が違うから。


■心理描写


考えを常に先行し、心に決めて行動させることです。
とてつもない行動を先に出しても、読者の心には響かない。
大きな行動を頑張って先に書いても、映像作品には勝つことはできないのです。

「自分の子が泣きやまないので、口をふさいでいたら、ぐったりしてしまった」

それなら、行動が起きるまでの心境をできるだけ細かく、丁寧に時間をかけて書き込んでいくことです。
そうすれば、行動に説得力が出ます。読者は行動が起きるまでのプロセスを読みたいのです。


■結末


各章のストーリーを結びつけて、結末に感動や共感を与えることができます。
その過程で3ヶ所光る部分があれば、大きな受賞ポイントになる。

読者が予想できるストーリーは減点になります。
読者の予想を裏切ってエンディングにすると、評価が高くなります。





ひとつの作品にこだわって、何度手直ししても仕方ない。
レベルを上げてから手直ししないと、「文字や文章の修正のみ」の無意味な徒労になります。
新しい作品を数多く作り上げ、それを教室で提出して、文学賞に挑戦してほしい。


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